セクシュアルマイノリティとされている子どもたちと、
すべての子どもたちに「じぶん、まる!」を届ける活動を続ける
田中一歩さんが“私たち”に語りかける稀有な時間―
出演:田中一歩
監督・編集:崟利子
撮影:小田香 音楽:ふちがみとふなと
録音・整音:ウエヤマトモコ 制作:加藤初代、若井真木子
11/8 (土)〜 ポレポレ東中野にてロードショー
2023年/日本/60分/カラー 製作:HERE&THERE 配給:アカリノ映画舎 ©HERE&THERE
イントロダクション
こぼれ落ちる言葉、
窓から射し込む光
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いっぽさんのこと知ってますか?
自分のこと知ってますか?
小さな頃からセクシュアリティに悩んできた田中一歩さん。
学校や民間団体などで、子どもたちと性の多様性から自分を考える、4歳以上を対象にした出前講座『じぶんをいきるためのるーる。』を子どもたちに届けよう!」を行ってきた。絵本やイラストを使うその講座は7年間で約1000回を超え、その輪はますます広がりを見せている。そんな一歩さんの活動と生き方に共鳴した映画作家・崟利子は1台のカメラを一歩さんの目の前に据え、ただただその言葉と表情を捉え続ける。
風景の中に存在する、
時間や記憶を撮り続けてきた映像作家・
崟
利子、
初めての劇場公開作品
撮影は『セノーテ』『Underground
アンダーグラウンド』の小田香、
音楽は、ベースと歌のデュオ・ふちがみとふなと
崟利子監督は、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された『オードI』(1998)『西天下茶屋・おおいし荘』(1999)を皮切りに映画制作を始め、『Blessed ─祝福─ 』(2001)では、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞受賞するなど、一貫してインディペンデントな立場で数多くの作品を発表してきた、知られざる映画作家。本作が初の劇場公開作となる。
撮影を担当したのは、『セノーテ』『Underground アンダーグラウンド』が話題となった映画作家、小田香。崟監督の希望で本作の撮影に起用された。また、音楽は京都を拠点に活動するデュオ、ふちがみとふなと。崟監督との長い交流から、そのシンプルながら力強い調べが映画に彩りを添える。
こぼれ落ちる言葉と風に揺れるカーテン、そして窓から射し込む光。少しずつ変化する時間の中で、いまを生きる一人の人生が浮かび上がってくる。
- るーる1 じぶんが きたい ふくを きる
- るーる2 じぶんが したい かみがたに する
- るーる3 じぶんが つけたい したぎを つける
- るーる4 じぶんが つかいたい ことばで はなす
- るーる5 じぶんが スキになった ひとを スキになる
- るーる6 じぶんのことを おかしいと おもわない
―――絵本『じぶんをいきるためのるーる。』より
出演者
田中一歩(たなか・いっぽ)
兵庫県生まれ。元保育士。大阪府豊中市の保育所を退職後、2002年、待機児童解消のための保育ルームを兵庫県西宮市で開設。6年間の保育ルーム運営を終え、創作活動を始める。現在、ippo. としてモノづくりやデザインの仕事もしている。2015 年、自身の経験をもとに絵本『じぶんをいきるためのるーる。』(解放出版社)を出版。同時に、コンちゃん(近藤孝子さん)とふたりで「にじいろ i-Ru(アイル)」を立ち上げる。セクシュアルマイノリティとされている子どもたち、またすべての子どもたちに「じぶん、まる!」を届けるため活動をつづけている。
2016年からはじめた、4歳児以上対象の出前講座「じぶんをいきるためのるーる。」を子どもたちにとどけよう!》は、7年間で約1000 講座を超える。
『ちゃいるどネット OSAKA』に「じぶん、まる!」、『季刊 SEXUALITY』に「性の多様性から『じぶん』について考える子どもたち」を執筆連載中。
監督
崟利子(たかし・としこ)
大阪生まれ。福田克彦監督の助監督、東京レズビアン&ゲイ映画祭(1992、93)のディレクター等を経て、『オードI 』『西天下茶屋・おおいし荘』を制作(1998、山形国際ドキュメンタリー映画祭1999)。『Blessed ─祝福─ 』(2001、山形国際ドキュメンタリー映画祭2001)は、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞受賞。2005 年より東京茅場町のギャラリーマキにて新作発表上映会「季刊タカシ」、2009年から神戸映画資料館で「タカシ時間」を開催。 近作に、『Wave 踊る人』(2016、恵比寿映像祭 2017)『BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW Omnibus2011/2016/2021』(2021、山形国際ドキュメンタリー映画祭 2021)、『ゆっくりあるく』(2022)。
コメント
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石川浩司(パスカルズ、ホルモン鉄道/ex.たま)
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映画のなか、一歩さんとコンちゃんの「出前講座」が終わってから、校長室に行って話をする子供たちの様子が語られる。
僕はきっと校長室には行けないだろうと思った。小さい頃から消極的で、不安や悩みを誰にも伝えられないタイプだった。自分には楽器と音楽があってよかった。一歩さんのゴム版画みたいに。
一歩さんのゴム版画が少しづつ社会とのつながりを広げてゆく。絵本が孤独な子供の栄養になる。
理想をうけとめる大人が少しづつふえてゆくだろう。
それはなが〜い大変な時間だと思うけれど、楽しいのかもしれない。
『じぶん、まる!いっぽのはなし』にはとてもいい時間がありました。ロケット・マツ(パスカルズ)
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崟利子さんにとって映画をつくることは、掃除したり、食事したり、散歩するのと同じような日々の行為なんだなとつくづく思う。私たちは、作り手の正直な姿勢に倣うようにスクリーンの対象を見つめ、耳を傾け、そして呼吸する。こんなにも清々しい映画体験はそうありません。
堀江実(映画作家)
上映情報
| 地域 | 劇場名 | 公開日 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | ポレポレ東中野 | 2025/11/8(土)〜 |
11/8(土)田中一歩さん(本作出演)・崟利子監督登壇予定※その他トークイベントも予定 |
崟利子監督のフィルモグラフィーを
振り返る上映も決定!!
いま発見する!
「映画作家・崟利子特集」
@ポレポレ東中野
- ポレポレ東中野
- 11/8(土)〜14(金)
『西天下茶屋・おおいし荘』、『春節祭』、『伊丹シリーズ』、『クロベニグンジョウシロレモン』など上映予定
『Blessed ─祝福─ 』(2001)を
一夜限りの上映
@space&cafeポレポレ坐
- space&cafeポレポレ坐
- 10/30(木)
18:30開場・19:00開映
あらゆる物に例外(マイノリティ)がある。言ってしまえば「例外のある事が普通で、例外のない物は不自然」と言ってもいいくらい。そして僕はその「例外」のものに魅力を感じることも多い。それは性のことだけじゃなくても、何でも。
この映画の音楽を担当している夫婦ユニット「ふちがみとふなと」を見ていると渕上純子が夫で船戸博史が妻に見えることがある。だからこそ、他にないちょっと奇妙だけど素敵な音楽を見せてくれているのかもしれない。